2015-06-04

タイのIT人材の単価は5年後に日本と同様に?

こんな記事があったので。

マレーシア、タイのIT人材単価 20年には日本並みに

現時点でタイのIT人材の充実度は日本のそれよりも随分劣る。
優秀な人材もいるが現時点では限られているし、タイでITプロジェクトを推進するためには、日本やシンガポールから人材の補強をしなければいけない状況。
特に大規模なプロジェクトのマネジメントが出来る人材や、システムアーキテクチャやシステム標準化を検討するような上級レベルのITの人材はまだまだ少ない気がする。

これが5年で日本に追いつくか?というとちょっとぴんと来ない。ただ、現時点でも少ないながら単価の高い人材はいる。IT人材そのものがASEAN地域に限らず、中国、インドをはじめとした新興国でも急激な勢いで増えていて、グローバルに見ると、スキルの差はどんどん縮まり、どの国でも単価の高い人材と、低い人材という二極化が進んでいる。

日本でも10年程度前からこの二極化は進んでおり、自分が知っている範囲でも、Java等のオープン系の技術者は発注単価が40~50万円/月という会社も珍しくない。ニアショア開発を請け負う地方のSIerなどはそんなものだ。
↓このサイトによるとエントリレベルの技術者は40万円かららしい。

ニアショア機構:エンジニア単価情報


ちなみに、各国のIT競争力に関する記事もあったので。

IT競争力、日本は順位上げ10位 シンガポール首位

何をどう評価してこの順位になったのかは分からないけど、「IT競争力≒IT人材の質」と大雑把に考えればそんなものなのかも知れない。
シンガポールは最初の記事にもあるとおり、多言語対応できる点が大きな強みだと思う。シンガポーリアンの最大の強みは英語が出来る点。もともとマレーシアやインドネシア出身の人材も多いが、そいうった人材も含め英語でビジネスが出来る。逆に考えると英語さえ出来れば、大きなアドバンテージになる。

IT人材としてのスキル向上の方向性はいくつかあるが、英語は最も手っ取り早く身に付けられる武器の一つだと思う。日本人としては英語に抵抗のある人も多いだろうけど、例えばプロジェクトマネージャやシステムアーキテクトとしてそれなりのバリューを発揮できるようになるには2~3年のIT経験では全く足りない。一方で英語でビジネスが出来るようになるには2~3年海外のプロジェクトを経験すれば十分ではないだろうか。

もっとも、海外プロジェクトに自分の身を置くにはそれなりの動き方をしないといけないけど、これだけグローバル化が進む社会なので、チャンスはいっぱい転がっているだろう。

#ちなみに、タイも日本と同様に英語人材は多いとはいえないが、自分が普段一緒に仕事をしているタイ人は、もちろん英語が出来る。


2015-06-01

システム開発プロジェクト初期段階が重要な理由

品質、コスト、スケジュール。

システム開発でこの3つのバランスを上手くとるのがプロマネの仕事といってもいいと思う。
いわゆるQCD。(Quality, Cost, Delivery)

コストとスケジュールは所与の条件となり、この制約の中で品質をいかに向上させるかがプロマネのウデの見せ所。

通常はプロジェクトが進むにつれて、品質、スケジュールの課題が多発し、コスト増、スケジュール伸長に繋がる。これを抑えるために良くやるのがスコープコントロール。そう考えると結局4つの要素を上手くコントロールするのがプロマネの仕事となる。(スコープも大きな意味での品質に含まれると考えることもできるが)

プロジェクトの成否を大きく左右する要素の一つとして、プロジェクト初期段階での、パッケージ・ベンダ選定がある。これはプロジェクト導入時点だけでなくその後5年、10年と続くシステム保守運用にも大きく影響する。

プロジェクト予算が十分でない場合は、このパッケージ・ベンダ選定で安かろう・悪かろうを選択してしまうリスクが高い。これがプロジェクト本格化後に低品質、スケジュール遅延を生み、プロジェクト推進に多大なコストを要求することになる。

また、だいたいにおいて、保守まで見据えたコストシミュレーションはこのタイミングではされない。初期導入までの道のりで問題の多かったシステムは、保守も容易ではない場合が多い。

そもそも大幅な予算超過、スケジュール遅延が発生した場合、プロジェクトが本番稼動まで漕ぎ着けられない場合すらある。

とはいえ、こういったリスクをプロジェクト初期段階でプロジェクトオーナーや経営層を納得させられるレベルで明確にすることは、大規模なプロジェクトになるほど難しい。
「このパッケージ・ベンダでは失敗するリスクが高いですよ」
「予算超過してでもこちらを採用すべきですよ」
と言って聞き入れられるためには、説明する側の論理性、説得力もさることながら、説明を受ける側の理解力や経験も大きく左右する。

どうしても予算を増やせず、安かろう・悪かろうを選ばざるを得ない場合は、事前にリスク分析を行い、プロジェクトのアプローチ(戦略)を良く練る必要がある。
例えばフルスコープでのビッグバンアプローチはこの場合、非常にリスクが高いため、
・スコープ分割
・段階ロールアウト
・プロジェクトマイルストーンの設定と各マイルストーンでのプロジェクト評価の組み込み
などが考えられる。

そうしないと大半の予算を使い切った後にリスクが顕在化してしまい、建て直しに多大な労力を割くことになる。あるいは最悪の場合、プロジェクトが頓挫する。

何でこんなことを書くかというと、今この点でとても苦労しているから。。